Wednesday, March 24, 2010

【書評】シモネッタのデカメロン

著者の田丸公美子さんの名前は、故米原万里さんの著作で知っていた。確か、イタリア語通訳の第一人者。なるほど、タイトルもボッティチェリの「ビーナスの誕生」のモデルとされるシモネッタ・カッタネオ・ヴェスプッチから拝借したんだろうと勝手に思い込んで、本を手に取り、裏を返すと帯には、笑撃的グラフがあった。著作権に触れぬよう、改変して載せる。


after.sex<-c(3,17,13,11,3,53)
names(after.sex)<-c("その他","煙草を一服する","水やビールを飲む","シャワーを浴びる","そのまま寝る","服を着て家に帰る")
pie(after.sex,labels=names(after.sex),main="イタリア男性100人に訊きました:セックスが終わった直後何をしますか?")
これは、各章のエピグラフとして引かれた小話をグラフ化したものなのだ。エピグラフがこのありさまだから、内容は言うに及ばず。シモネッタは「下ネタ」のもじりなのでした。しかも、通訳として接する人々、一定クラス以上の人々のそんな話だから、おもしろくないわけがない。読みようによって、女性を口説く方法のハウツウ本ともなるし、イタリア人と日本人の比較文化小論ともなる。
 私はと言えば、「男性と女性の異文化コミュニケーションでは正論が通じない」ことを学んだ。下心なく繰り返し読み、医師患者コミュニケーションの有効な方法論構築の一助にしたいと、綺麗事で締めくくってみる。

Saturday, March 20, 2010

臨床医学文献管理、最強の4ステップ

  1. PubMed: "Limits"を駆使して好みのRSSフィードを作成する。
  2. Google Reader: 上記で作成したフィードをリーダーに登録。フィードリーダならば何でも構わないが、Google Readerなら、NEJM、Lancet、BMJ、JAMA、Annals of Internal Medicineなどの主要紙が配信するポッドキャストを"Listen Subscriptions"というフォルダを作って登録しておけば、"Google Listen"というAndroidアプリと同期できるのが嬉しい。さらに、"Twitter Lists 2 RSS"のサービスを使えば、必読つぶやきをフォローできる。
  3. CiteULike: オンライン文献共有サービスの老舗。Springer社の出資で運営されており、無料で使用できる。いずれのブラウザでも文献登録のボタンをインストールできるので、閲覧中の文献からボタン一発で文献の登録が可能。RSSフィードもあるのでリーダーでの登録確認も出来る。他のサービスと比較して、下記のデスクトップの文献管理ソフト"Mendeley"と同期できるのが、吉。
  4. Mendeley: Windows、MacOS、Linuxのいずれにも対応していることが、ubuntuユーザの私には嬉しい。
Google Readerの整理整頓が情報管理のキモだな。

Sunday, March 14, 2010

【書評】村上式シンプル英語勉強法



ろくに英語を話せない私が、実績のある著者の批評をするなんておこがましいので、私なりの妥協案を提示してみたい。

大前提.1日3時間×3年間=3000時間超の英語学習
→1日3回30分ずつ×2年間=1000時間超の英語学習

課題1.300万語の英語を読む。意味が分からずとも読む。
→一日一本の関心領域の英語論文を読む。(1日30分)

課題2.毎日一万語の英単語を眺める。暗記できずとも見る。
→毎日10000語レベル単語集を眺める。(1日30分)

課題3.1000時間英語を聞く。意味が分からずとも聞く。
→関心領域のポッドキャストを聞く。意味が分からずとも聞く。(1日30分)Google ReaderとAndoridの連携が便利、ジョギングしながら聴けば一石二鳥。

課題4.英作文は目指さない。「英借文」のネタをストックする。
→課題.1で読んだ論文のコーパスを作成する。

課題5.自分を語る文章を100パターン用意し、丸暗記する。
→20答法の答えを用意し、定期的に見直す。
∵自分を語るのが英語学習の目的ではない。とすれば、20:80の法則に則り、定期的に20答法をすることで、自分の英語表現力、自己心理状態をモニターするという目的で月一回くらい20答法の答えのテキストファイルを見直す程度でよかろう。

ここまで妥協しても肝心なのは、始めることと続けることにかかっているのは言うまでもない。

Wednesday, March 10, 2010

【書評】Statistical Rules of Thumb

前回紹介した「リスク・リテラシーが身につく統計的思考法―初歩からベイズ推定まで (ハヤカワ文庫 NF 363 〈数理を愉しむ〉シリーズ) (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)」で、「親指の法則」の語源が紹介されていました。アメリカの古い法律では、妻を打つのに親指より細い棒でなら構わないとされていたそうです。その「親指の法則」をタイトルにもつこの本には、もちろん、妻を打つ方法ではなく、膝を打つ統計学のコツが満載なのです。分野も、統計の基本的事項に続き、サンプルサイズから実践的な統計コンサルティングに至るまでを網羅している。構成も、導入、標語、実例、原理、応用と一定の形式で記述されており、つまみ読みや通読後の参照に、親切である。

 前掲図書「リスク・リテラシー云々」では、リスクの表現の落とし穴として、単一事象確率、条件付き確率、相対リスクについて、その回避方法が説明されていたが、本書では、
5・3 リスクの標本空間を知れ。「第5章 環境研究」
6・10 有病率がものを言う。「第6章 疫学」
7・3 まず絶対リスク、それから相対リスク。「第7章 根拠に基づく医学」
と、実に簡潔明瞭にまとめられている。
 
 もう少し立ち読みしたい方のために、「第2章 サンプルサイズ」[PDF]が無料で公開されている。その中には、効果量から簡単にサンプルサイズを求める「Lehrの公式」[1]やある事象がゼロの時の信頼区間の上限を求める「3の法則」[2]の説明もあり、日本の統計学の教科書では触れられることの少ない事項が盛り込まれている。

 網羅性、参照性、簡潔性、斬新性を照らすと、星5つとしたいのだが、なにせ英語であることがネックになる。海外であまり売れないうちに和訳されることが望まれる一冊である。

[1] Lehr R. Sixteen S-squared over D-squared: a relation for crude sample size estimates. Stat Med. 1992 Jun 15;11(8):1099-102.
[2] Hanley JA, Lippman-Hand A. If nothing goes wrong, is everything all right? Interpreting zero numerators. JAMA. 1983 Apr 1;249(13):1743-5.